ほんのひと手間加えるだけで、お花がイキイキ!初心者でもスグに実践できる、アレンジメントの基礎をお届けします。代表的な方法をご紹介していますので、お花の声に耳を傾けながらチャレンジしてみてくださいね。
「水あげ」とは、花に水を吸わせる作業のこと。植物は、水を吸うのと同時に、葉からは水を蒸散しつづけています。この蒸散量が多いと、しおれたり枯れたりするのです。吸水量を増やし蒸散量を抑えれば、花の水分は保てます。つまり、「水あげ」すると、お花がいきいきとして、長持ちできるのです。
花は、「導管」というところから水を吸い上げます。茎の切り口を見ると、中央の白いスポンジ状の部分と表皮のすき間に細い繊維があります。これが「導管」です。植物は、土から離れた瞬間から蒸散が進み、吸水力も弱まって導管に空気が入ります。そこで導管から、吸水をさまたげる空気を追い出し、水を吸い上げる力を強めるのです。
用意するものは、切れ味のいい花バサミと大きくて深さのあるバケツなどの容器。「水あげ」は、できるだけ素早くすることが大切です。はじめに、水につかる下の方の葉やつぼみを取っておきましょう。水につかると腐りやすくなるからです。また、傷んだ枝や咲かないつぼみなども、取っておくとよいでしょう。
水切りは、深めの容器にためた水の中で必ず行う。切る位置は下から3cm以上。
よく切れるハサミを水中に浸し、切り口を斜めに切る。そのまま2秒以上浸しておく。
しっかり水が上がるように深めの容器に移し、さらに1時間以上おく。
アマリリス、チューリップ、ガーベラ、グロリオサ、バラ、ユリ、ランなど
茎が太くて水分が多かったり、しなりすぎたりして、水折りのしにくい花材にはおすすめの方法です。また、水分が減って茎が柔らかくなっている場合も水折りは無理なので、水切りがよいでしょう。
茎を10cmほど出し、新聞紙できつめに巻く。茎先をまっすぐに切りそろえる。
根元から3〜4cmを60度以上の湯に浸す。茎の色が変わったらOK。
冷水を深めの器に用意し、お湯から引き上げたら、素早く移し、1時間以上おく。
シャクヤク、アスチルベ、コスモス、デルフィニウム、ニゲラ、クチナシなど
とくに野花系で、水が先端まで行き渡りにくいものに適した方法です。ただし茎が太く水分の多いものは、避けましょう。カスミソウやスターチスなども水が上がりすぎて花が蒸れるので向きません。
茎を10cmほど出し、新聞紙できつめに巻く。茎先をまっすぐに切りそろえる。
切り口を上にして持ち、茎先の1〜5cmが真っ黒になるまでバーナーで焼く。
焼き終わったらすぐ、茎を半分以上水につける。そのまま冷暗所に1時間〜半日おく。
ブバルディア、ミモザアカシア、クリスマスローズ、ビバーナム、クレマチスなど
茎の中の水分が少なく、表皮の堅い花材に最適の方法です。反対に、茎が太く水分が多い花材は、燃えるのに時間がかかるので不向きです。バラの中では、とくに茎が細く弱いものに向いています。
注)※ここでは、各水あげ方法において代表的な花材をご紹介しています。同じ花材でも、品種によって別の方法がよい場合もあります。
その他にも、いくつか方法があります。水あげで「水切り」とともに基本となるのが、水中で茎を折る「水折り」。弱った花に効果があるのが、深い水につける「深水(ふかみず)」、逆さにして葉の裏に水をかける「逆さ水」です。茎が堅いときは、根元を十字に切って割る「根元割り」、ハンマーで叩く「根元叩き」などの方法もあります。また、白い汁やあくの出る植物にはアルコール、しおれやすい植物にはミョウバンや酢を使います。